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床がぷよぷよに!?床塗装における膨潤・軟化のメカニズムと対策

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目次

はじめに

膨潤とは、床塗装時に塗膜が液体や蒸気を吸収して膨らむ現象をいいます。軟化は塗膜硬度が低下し塗膜が柔らかくなり、塗膜強度や耐摩耗性が低下する状態をいいます。

床塗装面の膨潤や軟化は、塗膜の体積膨張や硬度低下など見た目の劣化だけでなく、密着性の低下や再塗装が難しい状況に陥ります。塗膜の物性が損なわれると塗装面の汚れや剥離につながります。
現場をきれいにしたくて塗装したのに不具合が発生したら嫌ですよね。不具合が起こさないように塗料の相性や使用環境を確認して材料選定することが必要です。

床の膨潤・軟化が発生する理由

ではなぜ床の膨潤や軟化が発生してしまうのでしょうか?
主な原因は、①旧塗膜の耐溶剤性が悪い、②化学薬品がこぼれる、③硬化不良、④熱水がかかる、⑤水没する、⑥塗装回数などが挙げられます。

① 旧塗膜の耐溶剤性が悪い

さあ塗料を塗ろう、そんな時には元々塗ってある塗料に着目しましょう。強溶剤系塗料はその名の通り強い溶剤系なので、旧塗膜の種類によっては表面をとかしてしまいます。水性系塗料や溶剤系一液塗料の上に強溶剤系塗料を塗装すると旧塗膜の耐溶剤性が悪く、再溶解して膨潤や軟化してしまいます。状況がひどくなるとチヂミなどの現象にもつながります。旧塗膜の種類は必ず確認しましょう。

選定材料
色々調べてみたが、旧塗膜の種類がわからない……そんな方にも朗報です。プライマーレスの性能を持ち、溶剤の含有量が少なく広範囲に旧塗膜に塗り替えが可能な「フロアトップ エポワン(ハイソリッド塗料)」や「フロアトップアクア フォルティス(水性系塗料)」が有効です。

② 化学薬品がこぼれる

化学薬品にも多くの種類の薬品があります。お客様から「酸に強い塗料がほしい」とお問い合わせを受けるケースがありますが、実際に使われている酸は何でしょう?
現場は製造工程上、必要な酸を使い分けています。例えば硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、ギ酸など様々な酸が考えられます。また、もう一つ重要なポイントとして、濃度も挙げられます。
塗料にも実は薬品との相性があるため、使われている酸の種類や濃度を確認しないと大変なことになります。対応としては耐薬品性に対応した材料選定が必要になります。

選定材料
耐薬品性に優れているデリックガード(低臭ビニルエステル)が推奨製品になります。

③ 硬化不良

二液塗料の場合、正しい配合比で主剤と硬化剤と組み合わせて混ぜ合わせて施工します。
これを守らず、また充分な攪拌混合がされなかったら、どうでしょう。
施工後、見た目上はうまく固まっているかもしれません。ですが、硬化不良を起こすと塗膜物性が維持されず本来の性能が発揮できなくなってしまいます。耐溶剤性や耐薬品性が悪くなり、膨潤や軟化を起こす可能性があります。

対策
二液塗料は撹拌機を使用し、均一な攪拌混合を行いましょう。

④ 熱水がかかる

塗膜にはガラス転移温度があり、塗膜に加わる温度が高すぎると塗膜物性が維持できず、柔らかくなっていきます。例えばエポキシの場合だと40℃以上になると物性の維持ができなくなり、軟化が始まります。軟化⇒硬化の収縮が繰り返されると塗膜が耐えきれず、最終的には割れ、剥がれにつながります。熱水がかかる現場には耐熱水性の性能を持つ塗料選定が必要です。

対策
「フロアトップ#8000耐熱(無溶剤系エポキシ)」や責任施工品である「フロアガードU(水性硬質系ウレタン)」が推奨製品になります。

⑤ 水没する

水性系塗料を長時間水没させると塗膜が水を吸収してしまい軟化し、膨潤します。
食品工場に臭気対策で水性系塗料を塗装しているケースがありますが、床は洗浄などで常に濡れている場合が多く、また常に水に晒される場所は剥がれるリスクが高くなります。薄膜の水性系塗料での塗装は避け、厚膜で耐水性に優れた塗料の選定をお勧めします。

対策
耐水性に優れ、食品工場で多く採用されている「フロアガードU(水性硬質ウレタン・責任施工品)」が推奨製品になります。

⑥ 塗装回数

溶剤系塗料の塗り回数を仕様より多く塗りこむと下層の塗膜が溶剤を抱きこみ膨潤する可能性があります。

対策
風通しや換気を良くし塗装間隔を守ります。工程ごとに塗膜をしっかりと乾燥させてから、次工程に入ります。例えば、溶剤系エポキシならば、塗装回数を1日2回に抑えることが必要だと考えます。

まとめ

塗料の選定段階で、選定する材料の旧塗膜との相性を確認することが重要で、現場調査や現場に塗装されている旧塗膜の検証が有効になります。
また現場で使われる環境や使われる内容を確認し、現場に対応した仕様を組んで提案すべきだと考えます。
とはいえ、こうした判断が自社施工ではなかなか困難なこともあります。弊社では、まず現場の調査を行い、職場環境をふまえて適切な材料・工法のご提案をさせていただいております。

経験豊富な営業マンによる現場調査や小面積のテスト施工、材料のサンプル提供、施工指導などの対応も可能ですので、お気軽にお問合せください。

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