屋根
塗装前の準備運動!!!〜必要な道具と準備のポイント〜
はじめに
「段取り8分、仕事2分」という格言を聞いたことはありますか?何事においても、準備は重要です。
近年では、自社で工場や施設の屋根の塗装をする企業が増えてきました。コスト削減や柔軟なスケジュール管理が可能になることが理由の一つとなっているようです。
屋根塗装を行う際は、下地処理と適切な道具の選定が重要となります。
これらを怠ると、塗膜の剥離を主とした不具合が早期に発生する可能性があります。そのため、今回のコラムでは、塗装を始める前に行うべき準備について解説します。
一般的に、屋根には汚れが蓄積していたり、錆が発生している場合があります。これらの状態を放置したまま塗装を行うと、塗料の効果が十分に発揮されないため、事前の処理が不可欠です。
目次
安全確保の為
屋根塗装は高所作業が中心となるため、作業者の安全を確保するための装備が非常に重要です。作業中の事故やトラブルを未然に防ぐためには、適切な安全装備と道具を準備することが不可欠です。安全対策を徹底することで、作業をスムーズかつ安心して進めることができます。
安全確保のための道具
フルハーネス
主に作業現場で使用される安全装置の一つです。前提としてフルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受講する必要があることを踏まえて下さい。特に高所作業において、作業者が落下するのを防ぐために用いられます。フルハーネスは、身体全体を包み込むような設計になっており、肩、腰、脚などを固定するベルトやストラップで構成されています。このハーネスを着用することで、万が一の落下時に身体全体で力を分散し、安全に支持されるようになります。安全性を高めるためには、適切な装着と点検が重要です。また、フルハーネスは、落下防止だけでなく、作業中の姿勢を安定させる役割も果たします。
ヘルメット・安全靴(滑り止め付)
ヘルメットは、落下物や作業中の不意な事故から頭部を守るために使用します。また、安全靴(滑り止め付)は、屋根に勾配があるため滑りやすく、特に雨が降った後などは滑りやすさが増すため、必ず準備が必要です。
下地処理施工道具-1
高圧水洗
聞きなれない言葉かもしれませんが、高圧の水を噴射して、表面の汚れや付着物を洗浄する方法、またそのための機械を指します。この方法は、劣化した塗膜や汚れ、錆、コケなどをしっかりと取り除く際に使用されます。いかにその特徴を挙げます。
- 高い洗浄力
- 高圧の水流が汚れを物理的に除去するため、洗浄力が非常に強力です。
- 特に頑固な汚れや、ブラシなどでは届かない隙間の清掃に効果的です。
- 環境に優しい
- 水だけで洗浄可能なため、薬品を使わない場合は環境への負荷が低いのが特長です。
- 用途に応じた圧力調整が可能
- 噴射圧力を調整することで、用途に適した洗浄が行えます。
また「トルネード」と呼ばれる技術もあり、これは円を描くように水が回転しながら噴射される特殊なノズルや噴射パターンを指します。この技術を使用することで、通常の噴射以上に強力な洗浄力を発揮し、頑固な汚れやこびりついた泥、一部の劣化塗膜を効率的に除去することが可能です。
下地処理施工道具-2
ケレン/研磨作業
錆落とし、劣化塗膜の除去、素地との密着性を高めるための足掛かりとして、ケレンや研磨作業が必要になります。比較的軽微な作業や手作業で行う場合は以下のワイヤーブラシ・マジックロンの2つを用いて下地処理を行います。
ワイヤーブラシ
金属製の毛(ワイヤー)が束ねられたブラシの一種で、さまざまな用途に使われます。
不織布研磨材
塗装業界でマジックロンとも呼ばれ、下地処理の定番商品として広く使用されています。目詰まりがなく、極太のナイロン繊維を使用しているため、耐久性に優れ、強い研磨力を発揮します。
ただし、手作業になるので時間がかかる場合があります。また、劣化が進行している場合は充分な下地処理が行えないこともあります。
下地処理施工道具-3
その他
グラインダー・ディスクサンダー等の電動工具を使用することを検討するケースも考えられます。これらの工具を使用することで、作業時間を短縮できるメリットはありますが、基材に穴が開くリスクもあるため、取り扱いには注意が必要です。
また下地処理と塗装作業の間に時間が空く場合は、軽度な汚れ・ゴミなどが付着する場合があります。その際は、塗装前にブロワーで清掃することも必要です。
まとめ
屋根塗装を行う際には、「段取り8分」ともいわれるように、下地処理が非常に重要です。地味な作業+大変な作業になるかもしれませんが、塗装の仕上がりと耐久性に大きく影響するため、欠かせないプロセスです。個人差が出やすい部分になりますが、自社で施工する場合は充分な時間と人員を確保するよう心がけてください。また、屋根塗装は高所作業になるため、安全対策を万全に整えた上で作業を行うことがが非常に重要となります。安全第一で、確実な施工を目指しましょう。