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「膨れない魔法のシートで水逃がす」〜屋上防水の膨れない通気緩衝工法とは~

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はじめに

「なんやこの写真は!」と思われる方もいるかもしれません。こんな現象、見たことありませんか?これは、塗膜を施した際に下にあった湿気が逃げ場を失い、塗膜を押し上げて膨れてしまった状態の写真です。
写真をよく見ると、刃の先で破いているところから水が出ているのが分かると思います。このことから、下からの水分や湿気が膨れの中に溜まっていることが分かります。
塗膜があるので防水効果はありますが、やはり仕上がりがこのようにブクブクと膨れた状態は気になりますよね。また、膨れた部分が破れてしまえば防水効果がなくなるリスクもあります。
このような現象が起きないよう、適切な対策を行うことが必要です。

目次

塗膜が膨れる要因

塗膜が膨れる要因の画像

一般的に塗膜が膨れる理由は湿気だけではありません。主な原因はいくつかあります。

湿気
温度の急激な変化により、塗膜が膨張したり収縮したりすることで、膨れが発生することがあります。
下地処理不足
下地の表面が不均一だったり、適切に処理されていなかったりすると、塗膜が正しく付着せずに膨れが生じることがあります。
塗料の不適切な使用
塗料が適切に混合されていなかったり、推奨される厚さを超えて塗布されたりすると、膨れの原因になります。
化学反応
塗膜が下地や他の塗料と化学反応を起こすと、膨れが生じることがあります。

今回はこの中でも湿気による膨れの対策を紹介します。

湿気で膨れるしくみ

湿気で膨れるしくみの図

塗布する際、下地は乾燥させてから塗布するのが基本です。
しかし、下地に水分が含まれているかどうかは、見た目で濡れていない限り判断が難しい場合があります。
その際に役立つのが、水分を測定する機器である「水分計」です。
この機器を使って水分を測定し、測定により高い水分率であることが分かった場合は、特に注意が必要です。

また、防水工事において、屋上の保護モルタル上に防水層を設ける際も、水分測定では判断できない場合がありますので、同様に注意が必要です。
特に、下地コンクリート(水分が含まれていそうな下地)の場合では、通気緩衝工法(絶縁工法)を施工する必要があります。
ウレタン塗膜防水では、「X-1工法」や「絶縁工法」とも呼ばれています。

通気緩衝工法(絶縁工法)

通気緩衝工法(絶縁工法)の図

通気緩衝シート

下地と塗膜の間に「通気緩衝シート」を挟みシートを通じて湿気を脱気筒から逃がす工法です。湿気を外部へ逃がすことにより、塗膜の膨れを防ぐことができます。
またこのシートは湿気を通すだけでなく、緩衝材としての役割も果たしているので、建物の揺れなどによる塗膜の割れを防ぐ効果もあります。
では、なぜこのシートが湿気を通すのでしょうか?

シートの構造

シートがなぜ湿気を通すのか不思議に思いますよね。それはシートの構造にあります。

通気緩衝シートの表面と裏面の違い

少し分かりにくいかもしれませんが、通気緩衝シートの表面と裏面には明確な違いがあります。
表面は滑らかで一見普通のシートのように見えますが、裏面を見ると細かい毛が立っているのがわかります。この毛が湿気を通すための道を作っているのです。

脱気盤と脱気筒の違い

図では「脱気筒」で表現していますが、脱気する装置には脱気筒の他に「脱気盤」もあります。
以下では、それぞれの特長と使い分けについて説明します。

脱気盤

脱気盤の画像

脱気盤は名前の通り「盤状」になっているタイプです。
写真の通り平たくなっているため、屋上や作業エリアで歩行する際に邪魔になりません。しかし大雨が降った際は、脱気盤が浸水する場合があります。

脱気筒

脱気筒の画像

こちらは通気緩衝工法でよく使われている「脱気筒」です。
先ほどの脱気盤とは異なり、筒状になっているため、屋上などで歩行する際には足を引っかけてしまう可能性があります。この点では、脱気盤に比べて少し注意が必要ですが、脱気盤と比べて浸水する可能性は低いという利点があります。

通気緩衝工法実際の施工

上記は、実際に通気緩衝工法を施工した現場です。
防水材は弊社製品の「アトレーヌ水性防水材」を使用しています。

水性防水材のコラムはこちら
①下地調整
シートを張り付ける上で凹凸があると上手く密着しないため、下地をフラットになる必要があります。(「アトレーヌ下地調整材」)
②通気緩衝シート貼り付け
下塗りを入れた後シートを張り付けていきます。(「アトレーヌ水性ADSボンド」、「ADSシート」、「ADSテープ」)
③脱気筒の設置
防水材とシートに穴をあけ脱気筒を設置します。
④シーリング処理(速乾一液ウレタンシーリングノンブリード推奨)
補強クロスの上にシーリング処理を行います。
⑤下塗り、中塗り、上塗り(水性防水材の塗布)
下塗り、中塗り、上塗りを塗ります。
⑥上塗り(水性トップSGの塗布)
最後仕上げにトップコートを塗ります。

まとめ

通気緩衝工法

今回は通気緩衝工法についてご紹介しました。この工法はあまり聞きなれないかもしれませんが、防水工事において重要な手法です。
よく、「何も気にせず防水材を塗布して膨れてしまった!」という話を聞くことがあります。
せっかく予算かけて施工したにもかかわらず、屋上がブクブクと膨れてしまったらとても残念ですよね。
今回の紹介で通気緩衝工法について知っていただけたと思いますので、失敗することなく美しい屋上を実現しましょう!

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